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六十の手習い

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老人になると物覚えがわるくなるというが、


老年になったために


記憶力が減退したのではない。



大抵の老人は


自身の若い時代のことなどを話し出すと、



その当時の事実を細大もらさず


実に詳細に述べる。



老年になったから


記憶力が減退したのではなく、



注意力が散漫になり、


物事を完全に記憶しないようになったのに


相違ない。



老年者でも有意注意を習性化すると、



青年に劣らぬような


記憶力が作られることからでも


この消息は諒解(りょうかい)される。



中村天風




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▼有意注意の習性化


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(以下、機関誌「志るべ」に掲載された


『研心抄』現代語表記版第3章より引用抜粋)



有意注意を習慣化する最も適当な訓練法は、


「何事を行う際にも決して気なしに


行わぬことを心がける」のである。



万事すべてを真剣な気持ちで行うのである。



そしてこれを的確に具体化するには、


毎日実生活を送る際、



ある時間と仕事とを特定して、


「気を込めて物事を行う練習」を


する事である。



たとえば手紙を書く間とか、


または読書する間とかいう時、



その時間内だけは絶対的に真剣になって


行うというようにするのである。



とりわけ自分が平素あまり興味をもたない事、


言い換えると気乗りのしない事や、



または気の急くような事、


あるいは大して価値のない事、


もしくは慣れ切って


熟練している事を行う際は、



とくに一層気を打込んで行うように


心がけるのである。




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■ 8月の天風箴言


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人生は儘ならぬ世界と正念すれば


不自由や不満というものを


少しも苦悶で感じなくなる


 
 
 

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